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さっちゃん。【短い小説】

老人がAIの少女を電気屋で購入する。彼は自分の孤独な生活が多少まぎれるだろうと、彼女との生活に期待していた。少女は彼女の年齢には少し幼い歌を好んだ。老人はれを楽しんだ。近くの公園に彼女と出かけるのも日課になり、彼女がきっかけで話しかけて来るひともいた。みな彼女がAIだとは気が付かない。
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桜の歌[短い小説]

葉桜の季節に「花見」に行くのが京子の楽しみだった。しずかとふたちでピクニックに行く。公園には妙な係員がいた。桜が歌うというのだ。不審におもってふたりは相手にしなかった。食事を終えて、カフェでくつろいぎ、帰るころ、何か聴こえた。歌のようだった。
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卒業旅行[短い小説]

田口と末木と僕の三人は、卒業旅行に行く。新幹線で名古屋を過ぎたあたりから、田口の具合が悪くなる。末木はせっかくの旅行だというのに、田口が体調を崩して不機嫌になっていた。大阪に着いて、田口はいよいよ動けなくなり、ベンチにへたり込む。末木の倦怠感も増していく。
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カラスの笑う島 [短い小説]

妻の提案で、島暮らしを始めた夫婦。けれど、来てまだ、一週間もしないうちに妻は、東京に帰りたいという。彼女のホームシックもひどいようだったので、「私」は島での生活を切り上げようと考えるようになる。その日、用事で、表に出ると、会うひとが皆、笑うのだった。カラスの声で。
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ベテラン作家の話。 [短い小説]

編集者の桑原は、ベテラン作家の田野瀬の原稿が大幅に遅れているため、その進捗をさぐるため、彼との打ち合わせに出向いた。酒を飲む予定で、その前に、喫茶店で待ち合わせをすることになった。田野瀬は早くに来ていた。彼は喫茶店にいる間、自分の不快感を話した。
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醜男の幸福 [短い小説]

たけしは、三年付き合った彼女と別れた。それで、ほっとしたのだが、災難はそこから始まった。彼は塾で講師をしていた。ある日いつものように出勤したら、塾がつぶれていた。彼は失職した。お金もなくなり、実家に帰る。父親も病気をしてたのだが、彼はそこで幸せをみつけることができた。
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雨の景色[短い小説]

ユキは、朝からパソコンを開いて仕事をしていた。彼女は文章を書く仕事をしていた。雨が降ってきて、雨音を聞くと、作業ははかどった。雨は彼女に、ある景色を思い出させた。雨の日、坂道が光を反射していた。その光は、彼女が近づけば逃げて行った。
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秋の道のり[短い小説]

茂木は、自転車で遠くまで行くのが好きだった。始めは遠出をする予定はなかったが、気が付くと知らない土地へ来ている。彼はスポーツをしているわけではなかった。日頃の鬱憤を晴らすために自転車に乗っていた。彼はプログラマをしていたが、絵描きになりたかったのだ。
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夏の別れ[短い小説]

転校してきた黒田は、タイチと殴り合いの喧嘩をした。タイチはすぐに降参して、その日から黒田はタイチと彼の仲間とに受け入れられた。夏休みに入る前、仲間のひとりのカズヤが狩りに行こうといった。その相手がホームレスと知って、黒田はタイチらとは付き合わないようになった。
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海での出来事 [短い小説]

田崎に誘われて、私は海に行った。田崎は、恋人のまさみを連れて来ていた。私は彼女が来ていることを事前に知らず、気を揉んだ。まさみは不機嫌だった。それからしばらくたって大学が始まると、田崎の姿を見なくなった。まさみは田崎と別れていた。