2021-08

小説

曽根崎の友達。[短い小説]

講義が終わって曽根崎は、カフェテリアに向かった。カフェテリアには、友人の竹下がいた。彼は、曽根崎には気がなかった。それでも、いつものように曽根崎は、竹下に話をする。竹下は、途中で席を立つと、曽根崎は体の震えが止まらなくなった。
エッセイ

スマホが原因で考えることが増えた。

スマホが原因で考える時間が増えてしまった。それによってなにか生み出せるのならいいが、たいてい不安になって、インターネットのなかを右往左往しているだけだ。スマホは、無限の情報にアクセスできる。けれど、私たちの頭の容積は限られているので、一度に大量の情報を処理できない。
エッセイ

海外旅行に行きたいと思わなくなった。

海外旅行にあまり行きたいとは思わなくなった。仕事などで機会があって、こちらの体も元気ならせっかくだからと思うかもしれないが、自分から進んで行くことはこの先おそらくないだろう。三十歳くらいから私の感性は変わってしまった。欲望が減退してちょっとした諦念があるのだ。
エッセイ

静かに生きるのは難しい。とまらなくなる考え事。

静かに生きるのは難しい。私は、ほとんど、病気療養のような生活をしているので、外見上は非常に静かな生き方をしているが、頭のなかはそうもいかない。際限なく考えが巡る。ひとは時間があればものを考えるものなのだ。その執着を手放さないことには静かな生活はない。
小説

異常なひと。[短い小説]

明らかに、異常であるのは周りのほうなのに、自分ひとりが異常者のように扱われる。「私」の一日は、すでに異常の始まりだった。自分だけ正しい恰好をしている会議。誰もそれを指摘しない。買い物に出かけても、明らかに間違った行為が正しいとされる。異常なのは周りか、自分か。